基礎医学とは?
学術分野としての医学は、”基礎医学”と”臨床医学”の二つに大別されます。
そのうち”基礎医学”とは人体の構造や機能の解明と病気の診断・治療・予防方法の開発を目的とした学問です。
そのため”基礎医学”は”未来のための医学”とも言われています。
さらに基礎医学は解剖学、病理学、微生物学、薬理学、衛生学の科目に細分化されます。
医師を志す医大生は大学5年までにこれらの基礎知識を講義や専門書を通じて学びます。
医学部を卒業して医師になった後でも研究、臨床の双方で基礎医学の知識や最新の研究成果などを必要とするケースは多々あります。
これは医学の研究分野の多くが基礎医学の発展、応用で成り立っており、また臨床でも人体の構造や機能の正しい理解が常に医療関係者には求められるからです。
そのため、基礎医学の専門書は、医学に携わる人であれば、誰もが使う専門書であるのと同時に、価値のある専門書として取り扱われています。
基礎医学にはどんな科目があるの?
多くの医学部のカリキュラムでは、基礎医学は単一の科目としてではなく、解剖学、病理学、微生物学、薬理学、衛生学など総括する学問として取り扱われています。
基礎医学は、それぞれの科目が独立しているのではなく、相互に各科目の知識・理論が作用・補完し合うことで成り立っています。
それでは、基礎医学を成すこれらの科目がどんな学問なのか?について紹介したいと思います。
解剖学
解剖学には植物解剖学と動物解剖学に分けられます。
動物解剖学に属する”人体解剖学”が医学分野の解剖学に相当します。
解剖とは、人間(ヒト)の体を切開して、その構造などを観察することです。
解剖学では解剖を通じて、人体の構造、形態の理解を目的としています。
全ての医師にとって解剖学の知識の取得と理解は必要不可欠なため、基礎医学の中でも最も重要な科目に位置付けられています。
病理学
病理学とは、病気になった原因や病気になった患者の症状がどのようなものであるか?を研究する学問です。
病理学の発展、およびその研究成果は臨床において、患者の診断や検診、病気の予防にも活かされています。
微生物学
微生物とは顕微鏡的な大きさ以下の細菌、古細菌、原生生物、真菌類、ウイルスなどを指します。
微生物学とは、これら微生物の構造、生態、そしてこれらが引き起こす病気やその治療法などを研究する学問です。
薬理学
薬理学とはヒトの体内外の物質と体内にある個体、臓器、組織、分子との相互作用を研究する学問です。
薬理学の知識・研究成果は、創薬・育薬による病気の治療や薬物開発に応用されます。
薬理学は解析に用いる手法や対象により、さらに様々な科目に細分化されています。
衛生学
“衛生”とは”生”を”衛(まもる)"を語源とした言葉で、健康をまもることやその増進、清潔を保つことを意味します。
衛生学では、健康に影響を及ぼす様々なリスクの推定、およびその予防活動を研究対象とする学問です。
衛生学の知識、研究成果は栄養状態の改善、感染症の征圧、生活習慣、環境問題など様々な分野で応用されています。
基礎医学の科目別おすすめ教材
基礎医学には、医学部の講義や、自立した医師が独学で学ぶための専門書籍が多数出版されています。ここでは、最近に基礎医学の分野で人気、価値が高まっているおすすめの専門書を各科目別に紹介させて頂きます。
解剖学
PT・OTビジュアルテキスト 専門基礎 解剖学 第1版
解剖学のセミナー実績が豊富な臨床福祉専門学校理学療法学科の町田志樹教授が執筆、医学書の著書実績が豊富な順天堂大学医学部の坂井建雄教授が監修を担当されています。
説明はシンプル、カラーイラストを多く用いているため、読者が内容の解釈を深く考えることなく、直感的に理解を得ることができます。
取り扱い内容は、上肢、下肢、頭頚部・体幹などの骨・関節・筋・筋膜、循環器系、呼吸器系・消化器系・内分泌系・泌尿器系などの臓器・血管、神経や感覚器としており、ヒトのあらゆる人体の部位を最新の解剖学で解説しています。
出版社 | 羊土社 |
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著者 | 町田志樹 |
監修 | 坂井建雄 |
発行年月 | 2018年11月30日 |
定価 | 6,160円 |
ISBN | 9784758102346 |
病理学
標準病理学(第6版)
初版は1997年と古く、今でも多くの大学の基礎医学の教科書として使用されている病理学書のベストセラーです。
「はじめて病理学を学ぶ医学生のための標準的な教科書」をコンセプトに編集されており、病理学の模倣的な教科書として多くの医師に支持されています。
初版から現在の第6版に至るまで、改版の度にX線像、CT像、臨床画像、マクロ画像、シェーマなどを用いて最新の病理学を採り入れ続けています。
CBT/医師国家試験対策、授業のレポート作成の参考書としても人気を集めています。
出版社 | 医学書院 |
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著者 | 北川 昌伸/仁木 利郎 |
監修 | 坂井建雄 |
発行年月 | 2019年3月 |
定価 | 12,100円(税込) |
ISBN | 9784260036597 |
微生物学
標準微生物学(第13版)
初版から40年近く改訂を続けながら、現在でも人気を集めている微生物学書です。
本書では、微生物学を細菌学、真菌学、ウイルス学、寄生虫学で細分化した科目毎に構成されているため、一冊で基礎医学に必要な微生物学の知識を学習することができます。
また本書は“感染症と向き合う”ための医学が集約された一冊でもあり、将来感染症医療に携わりたい医学生、医師、また自身で感染対策の予備知識を得たい方におすすめです。
出版社 | 医学書院 |
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監修 | 中込 治 |
編集 | 神谷 茂/錫谷 達夫 |
発行年月 | 2018年3月 |
定価 | 7,700円(税込) |
ISBN | 9784260034562 |
薬理学
NEW薬理学(改訂第7版)
初版から30年近く、医学部、薬学部、および医療研究者に“バイブル”として支持されている薬理学書です。
現在本書は、2017年3月で第7版を迎えましたが、改訂の度に大幅な見直しを行ってきたため、最新の薬理学を意味する“NEW 薬理学”という書籍名で出版され続けています。
本書では、「薬と生体の相互作用」の理解を目的としており、暗記からの脱皮を念頭に、読者の理解の向上を配慮した編集を採り入れています。
出版社 | 南江堂 |
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編集 | 田中 千賀子/加藤 隆一/成宮 周 |
発行年月 | 2017年3月 |
定価 | 9,680円(税込) |
ISBN | 9784524261758 |
衛生学
NEW予防医学・公衆衛生学改訂第4版
2003年初版、以降改訂を重ね現在第4版を迎えた衛生学書です。
社会変化によってもたらされた新たな衛生学の分野も改訂の毎に採り入れ続け、初版から15年たった現在でも最新の衛生学書として人気を集めています。
衛生学は医学生・医師だけでなく、医療事務、保健、環境、地域社会の従事者が必要とする学問ですが、その中でも本書は医学部学生、および医師向けに編集されています。
出版社 | 南江堂 |
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監修 | 岸 玲子 |
編集 | 小泉 昭夫/馬場 園明/今中 雄一/武林 亨 |
発行年月 | 2018年11月 |
定価 | 6,930円(税込) |
ISBN | 9784524251162 |
読み終えた基礎医学書の対処にお悩みなら?
基礎医学の教材は定価が高額、出版数が少ない、古くても価値が下がりにくい、といった理由で古本市場では高値で取引されています。
医学書はそもそも読者が限定されるため、古書市場の割合としては極わずかです。
古書買取店の多くは、コミックス、文芸書、ビジネス書、ゲーム、DVD、Blu-Rayなどの売買を主力事業にしています。
そのため、基礎医学書は医療関係者の間では市場・希少価値が高くても、古書買取店によっては最低買取金額で査定されてしまうケースも珍しくありません。
もし読み終えた基礎医学書の対処をお考えなら、廃棄などせずに医学書専門の買取業者に引き取ってもらうことをおすすめします。
まとめ
今回は基礎医学についてと科目別におすすめの医学書を紹介させて頂きました。
最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。
- 基礎医学は医学の基礎学問であり、解剖学、病理学、微生物学、薬理学、衛生学などの科目に細分化される。
- 基礎医学の教材は医学部、医師の方なら医学書院、南江堂などが出版する専門性の高い書籍がおすすめ。
- 基礎医学の専門書は定価が高額で、出版数も少ないので古書市場では高額で取引されている。
- 基礎医学の専門書の対処にお困りなら医学書を専門に取り扱う買取業者の利用がおすすめ。