副業解禁が進む近年、教員の副業は可能なのでしょうか?
学校教員とは
学校に勤務して教育に従事する人のことです。教員とは職業名であり、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校では主に先生とと呼ばれています。大学や高等専門学校では教授、准教授、講師、助教などと呼ばれることもあります日本だけでなく、世界の多くの国々では、フォーマル教育において教員資格、免許が要求されます。
学校教員の仕事内容
小学校、中学校、高校などで生徒たちに勉強や道徳、社会のルールなどを教えることで成長へと導くことが仕事となります。
中心的な業務内容には毎日の授業があります。小学校ではほぼすべての教科を、中学校・高校では専門科目について教えます。文部科学省が提示する学習指導要領の内容に沿って1年間で決められた範囲をすべて履修できるように授業を進めます。
また、集団生活の中で生活態度やルールを守るといった指導も教師の役割のひとつといえます。学校は、家族以外の人との集団生活を学ぶ貴重な経験の場となっており、その中でお互いがいか協調し、譲り合い、そして主張し合うかを身につけられるような指導や助言をしていくこともあります。
その他、生徒の保護者と連絡を取り合うこともあり、学校内の仕事にとどまらずさまざまな仕事をこなす必要があるのです。
学校教員になるためには
学校の先生になるには、教員免許の取得と教員採用試験に合格し、採用されることが必要です。まず教職課程のある大学などで教職課程を履修し、指定された単位を取得したり、教育実習をおこないます。
公立の学校教員になるには、教員免許状を取得したあと、自治体や各学校が行う教員採用試験を受験、合格して採用されなければいけません。また、私立の学校教員を目指す場合は、教員免許を取得した上で、各私立学校の採用選考を受ける流れとなります。
ちなみに公立学校なら地方公務員となり、私学の学校なら公務員ではなくそこの学園の職員という扱いになります。
近年では地域によって教師不足が課題となっており、教育現場をとりまく多様な変化に適応できる熱意ある若手教師が求められています。
国家公務員法
上記で説明したように、公立学校の教員は地方公務員に属します。実は公務員には、守らなくてはいけない3つの重要なルールがあります。国家公務員法では副業禁止の3原則と言われる3つの条文が記載されています。
- 国家公務員法第99条 : 信用失墜行為の禁止
- 第100条 : 秘密を守る義務
- 第101条 : 職務に専念する義務
また、地方公務員法38条1項では、職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事院会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むまたは、報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならないと記されています。つまりこの条文に反する副業は許可されていないということになります。
このように公務員の副業は法律によって禁止されているのです。法律で決められている以上、違反した場合には法律に基づき懲戒処分を受けることになります。免職や停職、減給、戒告などがそれらにあたります。
一方で教育公務員特例法では、市町村の教育委員会が認めれば、教員は教育に関する事業や事務に従事できるといった内容もあるという事実があります。教員の副業は許可さえおりればやれないことはないとも受け取ることができます。
副業はバレる?バレない?
周囲に副業をおこなっていることを知らせずに、こっそりやっていればバレないだろうと考えてしまいがちですが、思いもよらぬところで副業が発覚してしまうことがあります。それは住民税が増えることが原因となります。副業で年間所得が20万円を超える場合は確定申告が必要となります。
本業の所得に加えて副業分の所得も住民税の対象となるため、納める住民税の金額があがります。副業によって所得があがってしまったが故の結果となります。住民税の管理は担当者がおこなう場合が多く、急に納税額が増えることで疑問を持たれ、調べ上げられてしまうという現状があるのです。
実際に教員による副業が発覚して処分された事例は数多くあります。
- 副業で不動産、教諭減給 仙台市(2020.3.26 産経新聞)
- 中学教員、副業で料理配達して停職処分 140万円稼ぐ(2020.9.23 朝日新聞デジタル)
- 教諭 無届けでゴルフ教室経営も(2021.2.22)
副業はバレてしまう可能性が非常に高いということがわかります。
教員は副業解禁となるのか
2022年現在、教員の副業は原則、禁止となっています。神戸市や奈良、生駒市などは自治体独自で公務員の副業解禁の流れがみられるところもあります。
しかし市町村の許可があり、教育に関するものにすること、そして本務に支障がでないようにすることを守ることで副業はできます。例えば、教育に関する講演会や本などの執筆などが挙げられます。
一方で、許可を得ずに副業をおこなっている教員もいます。多くは資産運用(投資)、投資信託、FX、暗号資産、小規模農業、不動産投資などです。これらは資産運用という括りとなるためNGとなることは考えにくいとされています。
教員が副業をするメリット
副収入を得ることができる
教員の収入は限られたお給料となります。自分の趣味にかけるお金や、すこし生活を潤わせることが可能となります。
教員以外のやりがいが見つかる
学校でマンネリ化しがちな毎日の生活の中において、教員以外のやりがいをみつけることができるかもしれません。それらが教育の現場にもよい影響をあたえる可能性もあります。
教員が副業をするデメリット
本業との両立が難しい
ただでさえ、教員は仕事量が多くさまざまな仕事をこなさなくてはいけません。1日という時間制限がある中で、本業と副業をバランスよくおこなうのは難しいといった点が挙げられます。
副業への制約が多い
公務員の場合は、副業に自治体の許可が必要なこともあり、できる副業の種類や範囲が限られてきます。制約の多さから、やりたいことを副業にするのは厳しいげんじつがあります。
まとめ
教員の副業は全面解禁されるまで許可された範囲でおこなうことをおすすめします。しっかりと手順をふみ、規則を守ることで堂々と副業をすることも可能となります。