医師の転職ってどうなの?その理由とメリット・デメリット

医師の転職が増えています。そこにはどのような理由があるのでしょうか。
 

医師とは

医師は、英語でDoctorといわれ、医療や保健指導をおこなう医療従事者です。医学に基づいてケガや病気の診療や治療、予防、また公衆衛生の普及をおこなっています。

勤務する場所は一般的に、病院や診療所などの医療機関が主となります。医療機関以外で刑務所や拘置所の収容者を対象に医療行為をおこなう医師を矯正医官といい、自衛隊に所属する医師、保健所、基礎研究医、産業医、社会医学者、法医学など患者に対して直接の医療行為をおこなわない医師もいます。

現在のところ、医師免許に更新制度はありません。そのため、医師免許は生涯にわたって有効となっています。近年、医療の進歩により専門化、細分化の傾向になってきており、日本でも各診療分野の学会によって学会認定専門医制度を導入しています。

医師になるには

 
医学を学ぶことで医師になることができます。医者になるためには、大学の医学部に入学して、所定の単位を取得した上で大学を卒業することが必須条件となります。その後、国家試験を受験、合格して医師免許を取得することで初めて医師となることができます。

医学部では学費も高く、学ぶことも多く、また国家試験は難しいものです。さらに医学部を卒業し、国家試験に合格して医師免許を取得後は、2年間の臨床研修が待っています。人の命に係わる職業となるため、大学医学部は受験から非常にハードルが高いものとなってきます。

試験科目の多さや得点のボーダーラインの高さなど、医学部受験の難易度は他の学部とは比較にならないほどで、医師なるための最大の難関といっても過言ではありません。
 

医師の転職

従来は各診療科目の教室が運営する非公式な医師の同業者組織である医局の指示によって、転職するのが一般的でした。医局によって派遣を受けた医師は、勤務する病院によって国家公務員、地方公務員、サラリーマン、大学に戻ると研究生や大学院生などとなり、転属先によって医師という名目が変わっていました。

日雇い契約で雇われる場合もあり、その時にはフリーターや非正規雇用にもなり得ることがあるのです。数年おきに転属させられ、不安定であるだけでなく、退職金や福利厚生も無いに等しいといえます。

病院の経営状態が悪化する近年では、多くの医師が非正規雇用や僻地の診療所で医長に任命されるとつけられる役職である管理職のいずれかで働くような環境で、時間外手当もボーナスもなく、不当に長い労働時間を強いられていることもあります。このような医局による不当な扱いと、2004年からの初期臨床研修義務化に伴い、医局に入局する医師が減りました。

今まで医局が管理していた医師の派遣や医師の人材紹介、転職は一般企業が斡旋することもあります。このような医療従事者専門といえる転職支援サービスは、医師の足りない病院や、医局から医師の派遣を断られた病院で医師を確保するための役割を果たしているといえます。

未だ未開拓ともいえるこのビジネス分野にさまざまな企業が注目しています。医師も一人の人間であり、QOML (Quality of My Life) を大切にするべきという考えもあり、医師が過酷な勤務を要求する勤務先から独自の判断で転職するケースが増えているのです。
 

医師の転職理由

医師が転職を希望する理由には、さまざまな理由があります。なかでも産婦人科や小児科では医療機関自体が減少していることから、残った医療機関への負担が大きくなってしまい、そこで従事する医師たちはハードな勤務を強いられてしまう傾向があります。

医局人事制度に不満がある

この理由の背景には現在の勤務負担が大きいことが影響していると考えられます。

家庭や生活事情

忙しいことで家族や子どもたちとの時間がとれないことや収入アップを考えている場合があります。

将来の開業に向けて

医師の中には、もともと実家が開業医であることが多く、病院経営について学ぶ必要があると考えている可能性があります。

専門分野を極めたい

現在、もともと目指していたものとは違う働き方をしているといったことが考えられます。

人間関係によるもの

医師に係わらず、多くの人が学校や職場で経験することのひとつです。人間関係は仕事のパフォーマンスにも影響がでてくるだけでなく、解決しずらい問題ともいえます。

このように医師が転職を希望する理由にはさまざまな考えがあります。
 

医師の転職、メリットとデメリット

医師が転職する方法はいくつかあります。医師の世界では一般的といわれる知人からの紹介がまず一つ目です。転職を経験した医師のうち4割が、大学時代の同級生や元同僚といった知人を通じて転職しています。

そして医師人材紹介会社を利用する方法が二つ目となります。三つ目は、医療機関などのHPから自身が直接応募する方法です。いずれかの方法で実際に転職を経験した医師たちが考えるメリットデメリットをみていきましょう。

メリット

  • ・転職を経験することで世界が広がる
  • ・収入がアップした
  • ・時間がとれるようになった
  • ・技術力が上がった

デメリット

  • ・転職後にギャップを感じた
  • ・給与が低い
  • ・転職活動がうまくいかない

転職にはいい面と悪い面があることをあらかじめ知っておくことで、デメリットの部分を少しでも減らせるように転職する際に押さえておくべきポイントをチェックしましょう。
 

転職のポイント

希望の勤務条件であるか

収入や勤務態形だけを重視するのではなく、全体的にどれだけ自分の希望に当てはまる条件があるのかをチェックする必要があります。収入がよくても激務となったり、またその逆のパターンもあり得ます。転職してから、こんなはずではなかったという事態にならないためにも自分の希望を明確にもち、転職先の条件と細かく照らし合わせるようにしましょう。

転職先について情報収集をする

転職先の立地や雰囲気を含め、あらかじめ情報収集をすることをおすすめします。HPだけではわからない部分は、実際に足を運ぶ必要があるかもしれません。それらの情報収集は転職で必ず役に立つこととなります。

なによりも転職の際には気持ちを新たに、一から積み上げていく、といった前向きな気持ちが重要といえるかもしれません。
 

まとめ

医師のキャリアが多様化している現代では転職もめずらしいことではありません。さまざまな経験をすることで、自身の世界も広がることでしょう。転職活動がうまくいかない際には、一度立ち止まることも必要です。転職をしないという勇気、また時期をみて再チャレンジすることも考えるといいかもしれません。