参考文献はどのように書くのか、基本的な情報をチェックしておきましょう。
論文とは
論文とは、学問の研究成果などのあるテーマについて論理的な手法で書き記した文章のことを指します。よく耳にすることがある小論文や卒業論文なども論文の一種といえます。ある研究テーマに関しての調査のために客観的な文献や資料を幅広く集め、それらを分析したり、考察したりした結果に基づいて、自分の意見をまとめた論述です。
特定の研究成果についての記述は学術論文とよばれ、学会や学術雑誌、また文科系と理科系によって用語に差異があるのが特徴です。また論文と混同されやすいものにレポートがありますが、レポートでは、あらかじめ問題が設定されていることが多いものです。
論文において、テーマの設定は書く人が自身で決めることになります。論文のテーマには、書く人の日常や、学問上の関心、疑問、主張に沿って設定します。そのテーマを創意工夫で解きほぐし、読み手に対して何らかのメッセージや解答を説得力ある形で提供するのが論文ということになります。
論文の内容としては、著者の独自性が現れている必要があります。テーマの設定から結論にいたるまで、自分自身で問題意識をもち、資料を集め、それらを整理して分析したうえで、考察や検討を加え、自分なりの結論を得るということになります。
論文は独自の視点でテーマが設定されているか、どの程度説得力のある結論に至ることができたか、という点で評価されることが多くあります。
参考文献とは
参考文献は自分が作成した文章の中で引用した他の人の文章や意見、データのことです。記事や書籍、論文において著述をおこなうにあたり、参考にした書籍や文献、新聞記事やその書誌事項を記したものです。
巻末や本文中に書き記されことが多いのですが、一般図書などでは書名、出版年月日、引用、参考ページなどが特別に存在します。雑誌論文からの引用をした際には雑誌名も記されることがほとんどです。
近年はインターネットの普及により資料やデータにインターネットを使用することも増えてきました。ネットでの検索内容を引用、参照する場合には、ウェブサイト名やURLを明記することになります。一方でウェブサイトで情報を収集する場合にはそれらの信憑性について十分な注意が必要となります。
そして、レポートや論文を読んだ人が参考文献の内容を確認できるように、正確で十分といえる情報を記載する必要があります。CiNii(サイニィ)という、国立情報学研究所の学術情報データベースでは、参考文献となりうる学術論文や図書、また雑誌や所蔵している図書館などの検索が可能となっています。
参考文献が必要な理由
- 自分の論文が、過去の研究に基づいて成り立っていることを証明し、さらにそれらの正当性を裏付けるために必要です。
- 論文の読者が、同じようなテーマの文献調査をする時に、自身の著述した論文が役に立つという考えもあります。
- 研究において成果を出した先人(過去の研究者)に対する敬意を示すことにつながります。
- 論文を読んだ読者に対して情報を提供することができます。
論文を執筆するうえで、参考文献は必要なものなのです。日本の科学技術関連の書誌情報の記述の指針としてJIST(科学技術振興機構)のSIST(科学技術情報流通技術基準)があり、著作権法32条では「参考」や「引用」を使用する場合は出典元を明示しなければならないと決められています。
また研究においては、全て先人たちの業績によって現在があるといえます。引用したり参考にした文献を明記することで、先人たちの業績と、自分の考えを明らかにすることができます。それと同時に、先人の業績に敬意を示すことにもつながるのです。参考文献のない論文は無断借用となる場合がありますので注意が必要です。
論文での参考文献の書き方まとめ
まず論文を書くうえで、必ず記載するべき項目をみていきましょう。
- 参考文献の著者のファミリーネーム
- 参考文献の著者のイニシャル
- 参考文献の著者のミドルネームのイニシャル
- 西暦による発行年
- 参考文献のタイトル
- 参考文献の発行元
- 何巻であるか、または(号)
- 何ページに記載されているのか
- 参照元のURL(ウェブによる情報収集の場合)
どのような論文に関しても上記の情報が基本的に必要となると考えてください。
また本文と参考文献リストとの関連付けは分野によってスタイルに違いがあります。それぞれの特徴や書き方を紹介します。
ハーバード方式 | Harvard形式とはハーバード大学のエドワード・ローレンス・マーク教授が考案した引用形式からついた名前です。経営学や会計、マーケティングなどのビジネスに関する論文において使用されます。ハーバード方式は本文中の引用箇所に著者名(姓)と発行年を記述し、参考文献欄は著者名、発行年といった順番で参考文献を記述します。 |
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APA形式 | APA形式はアメリカ心理学会(APA)の公式スタイルの引用方法で主に教育、社会、心理といった文系の論文で使用されます。 |
MLA形式 | MLA形式は現代言語協会(MLA)の引用方法で英文学科や人文科学の論文で使用され、APA形式との違いに発行年を記載せずに、著者の姓と引用ページの番号を表記するという点があります。 |
文末の参考文献リスト | 分野によっての傾向がありますが、細かい指定は雑誌によって異なります。姓はイニシャル表記であったり、共著者〇人目以降はet alを使用したり、雑誌名はイタリック体であること、など雑誌ごとに投稿規定に違いがあります。それに従って記載するようにします。 |
近年では、参考文献用のソフトウェアが開発されていて、取り込んだ文献情報をWordへ出力するだけで簡単に参考文献リストを作成することができます。本文中の引用表記を削除したり、順番を入れ替えたりした場合にも自動的に引用番号を振りなおしてくれるといった優れものです。
参考文献リストの体裁を変更する場合も、スタイル名を選択するだけで自動的に変更してくれます。無料のサービスにEndNote basicというものがあります。日本語対応となっていて、文献管理や論文引用に便利なフリーの文献管理Webサービスです。
まとめ
論文において参考文献を無視することはできません。論文を読んだ人たちが簡単にその参考文献を特定できるような状態としておく必要があります。それぞれの分野においてのスタイルで正しく記載することが、論文のあるべき姿といえるでしょう。論文を書く際には参考にしてみてください。