初版本って何?その価値と見分け方

初版本には価値がある?!初版本とはなにか、また価値が付く理由と見分け方を紹介します。
 

書籍の奥付

奥付(おくづけ)とは、本の巻末に載せられるその書籍に関する事項が記述されている部分のことです。奥付の記載事項に決まりはありませんが、一般的に記述されている内容は以下の通りとなっています。

本のタイトル 本の正式な題名を表記します。
発行年月日 実際に印刷された日という決まりはありません。印刷が終わり、書店などに並ぶ頃などを見計らった期日で設定されていることもあります。
版および刷数 最初の版を利用して印刷したならば、初版と記載します。刷は印刷回数のことなので、初めに刷ったものは「初版第1刷」と表記することになります。売れ行きが好調だった場合に、さらに追加で印刷したということになると、それは「初版第2刷」となります。
著者名 その本を作った作者の名前を記載します。
発行所名 ここでは主に出版社の名前が入ります。
発行場所 発行所の電話番号や住所を記載することで、いわゆる問い合わせ先となります。
発売元 取次(出版社と書店の間をつなぐ流通業者)との契約をしている会社名の記載です。
発売元住所 発売元の住所電話番号を記載します。
印刷所 書籍の印刷、製本を担当した印刷所の名前です。

このように奥付とは、その本の責任がどこにあるのかを明確にするためのものといえます。出版した本の内容、または本自体に不備が生じた場合などに読者が問い合わせをできるような仕組みが奥付となっています。

日本の書籍には奥書を付ける慣習がありますが、洋書には通常は奥付はありません。本の扉に標題、著者名、出版社、出版年等が記されている程度のものが多いです。
 

版および刷数

上記の奥付で説明があった、版と刷数について詳しくみていきましょう。
 

版とは

書籍における版とは、印刷をするための元となるもののことで、原版といいます。この原版にインクを載せることで印刷が可能となります。

書籍を印刷する元になるバージョンだと考えるとわかりやすいかもしれません。版は、本をはじめとした出版物において同一の原版が印刷された、同一の内容のものを指します。ただし、もとは同じ版でもないように訂正や修正がされたものは重版として扱われます。

原版を作り直す作業が生じるため、第2版、第3版と変化していきます。

刷とは

簡単にいうと、印刷する回数のことになります。一回目に印刷したのが第1刷となり、印刷回数を重ねると第2刷、第3刷と増えていきます。つまり同じ版のなかで、印刷時期が異なるものとなります。

初版本とは

初版本とは、一番最初に出版された本のことです。また、一般的には初版初刷のことを初版とさすことも多くあります。初版を増刷したものは初版第2刷、初版第3刷と増刷ごとに刷り数が増えていきます。

初刷は最も誤字や脱字、乱丁などのミスが多いため、内容の変更や訂正を加えたうえで重版される場合があります。その時には、改訂、訂正回数を明確にするため2版、3版と版の数が増えたものが表記されることになるのです。このように重版や増刷を繰り返している書籍もあるということになります。つまり初版本とは最初にこの世に出た記念すべき本ということになります。
 

初版本は貴重?!

本好きの人にとっては、人気作品や好きな作家の初版本となればオークションなどで高い金額を払っても手に入れたいというひとも多くいます。これらの現象は日本だけでなく、海外でもみられます。初版本はなぜ貴重とされているのでしょうか。その理由を紹介します。
 

発行部数が少ない

これはどの書籍にもいえることですが、初版がどれくらい販売数を伸ばすのかは、発売するまではわかりません。そのため初版は少ない部数で発行します。その後の売り上げに応じで増刷を繰り返していきます。増刷されたものは初版とはいえなくなってしまいます。初版本は世の中に出回っている部数がそもそも少ないという点で貴重ということなのです。

重版、増刷前の完全オリジナル

初版本は、誤字や脱字、表現の方法などの理由により本文が訂正されたり削除されることもあります。初版以降は重版により修正された内容で発行されることになります。作者の想いがつまった完全オリジナルの作品が初版にはつまっていると考えることもできます。なにかしらの理由により、絶版となってしまった書籍の初版などは特に注目されるようです。

帯も初版仕様

初版が発行された際につく帯も初版だけの仕様となっています。増刷されると、それらが帯にかかれ、評価されると有名人のレビューなどがかかれた帯に次から次へと変更になっていくからです。初版は余すところなく特別なものだらけといえます。

特別な価値がついていることも

初版には特別に作者のサインが入っているものもあります。初版ならではの特別な価値といえるでしょう。
 

初版本の価値と見分け方

初版本とひとことでいっても、ジャンルや状態によって価値はさまざまです。紙の本は繊細で傷みやすいため、丁寧な保管が必要です。

歴史的な書籍や小説の初版は高い価値がつきやすいものです。またコミックでも全巻が初版本である場合などは、価値あるものとして扱われる場合があります。そして初版本の帯がついているのか、どれくらいの保存状態であるのか、という点でも価値は変わってきます。

一方で、人気作家の作品やベストセラーは、大量に流通していると考えられ希少価値が少なく、価値があるものとは見なされないものが多くなっています。また専門書は情報が新しくなければならないため初版であっても価値は低いものとなってしまいます。近年は印刷技術も向上しているため以前ほど初版本の価値が高い状態ではありません。あくまで、コレクションといった意味合いでの価値という範囲の認識となっています。
 

まとめ

絶版になってしまった本や小説、歴史的な書籍などの初版本は価値が高くなる傾向があります。初版本であるかどうかは、本の巻末にある奥付を参考にしてみましょう。家の本棚に眠る本の中にも初版本が眠っているかもしれません。探してみるのもいいかもしれません。