世界には2010年の時点で1億2986万4880冊の本が出版されているといわれています。それらの中で最も高価な本とはいったいどんなものなのでしょう?
本(書籍)の定義とは
本は書籍や書物ともよばれます。紙などの素材を用いてそれらに文字や記号、図画などを筆写したものを印刷、糸や糊などで装丁、製本したものをさします。本にはたくさんのジャンルがあり6800種類以上ともいわれていて、小説や専門書、児童書などがあります。
本は図書館や学校などで貸りて読むことができるほか、書店やインターネットを利用して購入することができます。近年では、電子書籍を利用するひとも増えてきており、紙の本の販売数が減ってきている現状もあります。
本の相場
さまざまなジャンルがある本ですが、だいたいの本の相場を知っているでしょうか?
文庫本・コミック
文庫本やコミックでは1000円以下が圧倒的に多いです。サイズ感だけでなく、手軽に読むことができる本の価格設定となっています。子ども用の絵本などは薄く文字数も少ないですが、1000円以上のものが多くみられます。絵本というだけに絵が主役であり、カラーであること、見やすさ重視のためサイズ感も大きくなってしまうため1000円以下のものはあまりありません。
専門書
専門書といってもどちらかといえば一般の人向けに書かれた内容となるビジネス書やハウツー本、自己啓発本などは、1500円~3000円が相場といえます。また文庫本よりも大きいサイズのハードカバーの小説などはこちらの分類に入ります。
より専門的な専門書
医学書などのより専門的な内容が書かれている書籍では3000円以上となるものも多くあります。これらの本は教科書として使用されることもあるような内容となっており、専門の勉強をしているひとたちに特に需要があるものです。一般に興味がある程度では理解が難しいものもあります。単価としても少し高くなりますが、これらを何冊か購入するとなるとそこそこの出費となります。
古書
古ければ古いほど価値が高くなるといわれています。それは流通数が少なく入手するのが困難であるからです。歴史的な価値を持つ本や古地図、独特な綴じ方をされているもの、また古書画や巻物などの美術的な価値をもつ本は高く評価される傾向があります。蔵書印の記された蔵書本などは、希少性や付加価値から高額で取り引きされるという可能性があります。一般的な書店などでの購入はできず、古本店、古書店などでの取り扱いとなります。
大きくわけると本は上記のような価格帯となっていると考えられます。もちろん例外があるため、上記の限りではありません。このように本にはだいたいの相場というものがあります。
世界一高い本は?
一般に書店で購入することのできる本についてのだいたいの相場と古書についての価格をみてきました。それでは、いま現在、世界の中で一番高い本とはどのようなものなのかをみていきたいと思います。
①レオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿
価格 | 約28億円 |
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かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチが40年にわたって書き綴ったノートといわれるものです。革の装丁となっていて全36ページになっています。レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿はレスター手稿にとどまらず、他にも現存していてるといわれていて、それらすべてを合わせると5000ページにもなるといわれています。その一部であるレスター手稿は、マイクロソフト社を創業したビル・ゲイツが、1994年に当時の価格28億4千万円で落札したことで有名で、天体の考察が記されているものとなっています。この手稿以外のものは主に美術館や博物館で保管されているようです。現在の価格にすると30億円を超えてくるでしょう。
②マグナカルタ
価格 | 約24億円 |
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1215年6月15日、イギリス国王ジョン王に対し、封建貴族や庶民から強制されて、王権の制限、貴族の特権、都市の自由などを認めさせた文書となります。世界初の「国王を法的に制限する」憲章となっており、当時、神のような扱いだった国王に対し、法の下にあり法を守る義務があることを明記しました。またその他にも、交易や関税、庶民への保証事項なども記されました。「法による支配」などの立憲主義の出発点とされ、イギリス憲法の一部と位置づけられています。その710年前の写本であり、17部の現存のうちの1部が2007年、オークションによって約24億円で落札されました。
③ベイ・サーム・ブック
価格 | 約17億円 |
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1640年にマサチューセッツ州ケンブリッジ(イギリス領北アメリカ)で始めての印刷による本として発行されたものです。旧聖書の詩篇を翻訳した内容となっています。初版は推定1,700部が印刷され、現存するものは11部だけと、非常に価値が高くなっています。2013年にオークションでついた価格が約17億円となっています。
④ファースト・フォリオ
価格 | 約10億円 |
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1623年に出版された英劇作家シェークスピアの初の戯曲全集です。英語で書かれた本の中で最も影響力のある一冊とされています。シェイクスピアの死去から7年後の1623年に刊行され、ロミオとジュリエットやジュリアス・シーザー、ハムレットなど現在でも絶大な支持を受けている作品も含むほとんどの戯曲が収録されています。アメリカで競売に掛けられ、約10億5千万円で落札されました。オリジナルの初版は750冊あったとされていますが、現存するものは228冊とされています。予想された価格を大幅に上回り、文学作品としては今までで最高額での落札となっています。
⑤吟遊詩人ビードルの物語(The Tales of Beedle the Bard)
価格 | 約4億円 |
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「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリング氏が手作りした本で、世界で7冊のみの作成となっている希少本、「吟遊詩人ビードルの物語(The Tales of Beedle the Bard)」は「ハリー・ポッターと死の秘宝」の中に登場する実際に出版された本です。2008年7月3日、Amazon.comによって4億5千万円で落札されました。現代文学の手書き原稿として史上最高値となり話題を集めました。また落札で得た収益は、欧州のこどものための慈善団体「The Children’s Voice」に全額寄付されました。
このように希少価値の高い本や、稀覯本とよばれるレアな古書などは特に一般の書店や古書店でも購入はできません。多くは、収集家などによってオークションなどにかけられるため高額な価格となっていくわけです。
まとめ
世界にはこれだけ希少価値の高い本が存在するということになります。紙の本は購入することで手元に残すことができます。紙の本であるからこそ、このように長い年月をかけても形として残り価値がつくのかもしれません。近年、人気の電子書籍も手軽で使いやすいですが、紙の本ならではよさも改めて感じることができるのではないでしょうか。