汚れてしまった本。自宅でキレイにできます!
本は意外と汚れています
本はキレイにみえても実はけっこう汚れているって知っていましたか?ただ本棚で保管しているだけであっても、ほこりが溜まったりカビが発生してしまったりします。繰り返し読む本であっても、表紙の汚れやページ内の油染みなど一見わかりずらいような汚れまでさまざまです。特に古本や年月の経った本などの場合には、新しく購入した本と比べると一目瞭然である日焼けが起こっていたり、少し気になるニオイがすることもあります。食器や洋服のように簡単に洗えないものだからこそ本来は丁寧に扱い保管することが大切です。
本の汚れ
本はどこでも汚れる可能性があります。表紙だけでなく、中のページも気を付けなくてはいけません。また物理的な汚れだけでなく保管状態による日焼けやカビの発生なども一種の汚れといえます。
表紙
本はハードカバーやソフトカバー、ペーパーバックなどの種類があります。子供の用の絵本などによく使われるハードカバーは型崩れや耐久性があります。コミックや小説などはソフトカバーとなっており、持ち運びやすい大きさのものが多くみられます。
洋書の仕様はペーパーバックとよばれる、カバーがないタイプのソフトカバーです。主に表紙が汚れる原因は、値札のはがし跡や手あかによる汚れなどです。
日焼け
日焼けとは本のページが日光の光によって変色し、すこし茶色っぽくなってしまうことです。小口とよばれる本の上の部分などに多く見られることが多いものです。
ニオイ
本につくニオイにはタバコや香水などがあります。紙製品である本は、ニオイをいともかんたんに吸収してしまいます。一度、吸収したニオイはなかなかとれないうえに、本は洗うことができないので注意が必要です。
カビ
ニオイと同様に、本は紙なので水分や湿気もよく吸収します。湿気などはカビを発生させ、本の中で黒い斑点やシミなどになって現れます。
水濡れ
字の通り、本が水に濡れた状態です。一度濡れると乾いてもページがごわごわになったり波打ったりします。紙製品である本は簡単に汚れたり痛んだりします。せっかく手に入れた本がこのような状態になるのとても残念です。
自宅でできる本のクリーニング方法
よごれが目立つ本や、うっかり汚してしまった本はもうあきらめるしかないのでしょうか。実は自宅でできる本のクリーニング方法があるのです。本を扱う専門家が推奨するクリーニング方法で万が一汚してしまった場合でもある程度の汚れを落とすことができるかもしれません。上記の本の汚れ別にクリーニング方法を紹介したいと思います。
表紙の汚れ
用意するもの : 除菌効果のあるウエットティッシュ、消しゴム、重曹
表紙の汚れは、ハードカバーであればアルコール除菌のウェットティッシュなどが効果的です。除菌も同時にできるので清潔です。
除菌ウェットティッシュだけで落ちないる汚れは、重曹を溶いたスプレーを使用しましょう。重曹は、さまざまな掃除につかえてとても万能なうえ、ラッグストアで簡単に手に入ります。重曹1 : 水またはお湯100mlの割合で溶いたものをスプレー容器に移すと重曹スプレーの完成です。それを直接本に吹きかけてはいけません。乾いた布やメラミンスポンジに吹き付け、湿らせて拭きあげると除菌ウェットティッシュよりも汚れ落ちを実感できます。
少し頑固なシールのはがし跡などは消しゴムを使いましょう。表紙を傷めないように軽くこするとボロボロと固まりが落ちてきます。
またカバーがないタイプのソフトカバーも濡らすクリーニングはできないため消しゴムを使用します。ウェットティッシュや重曹スプレーなどは使用せず、消しゴムのみである程度の汚れを落とすことができます。
日焼け
用意するもの : やすり
日焼けのクリーニングといっても、本の背表紙以外の上下と見開き部分をヤスリがけするといった方法になります。日焼けで黄ばんでしまったページはもとに戻すことができないため、黄ばんだ部分を取り除く作業になるわけです。粗いヤスリで黄ばみを削り、細かいヤスリで滑らかに仕上げていきます。力加減によって大きく削れてしまったりゆがんでしまったりすることが考えられるため、やりすぎない慎重な作業が必要です。本を傷める作業になってしまうので、大切な本はできるだけ日焼けしないような保管し方をおすすめします。ブックケースに収納する、窓の近くに本を収納しない、定期的にほこりを取るなどを行うとキレイな状態を保つことができます。
ニオイ
用意するもの : 新聞紙、重曹、消臭剤
しみついたニオイを除去するには、まずは天日干しを試してみましょう。それでもニオイが取れていないと感じる場合には数ページごとに新聞紙を挟み、さらに本自体を新聞紙で包んで数日寝かせてみましょう。2~3日おいてまだニオイが気になるときは挟んだ新聞紙を取り換えて、もう数日様子をみます。これを数回くり返すことで徐々にニオイが取れていきます。
また新聞紙と似た方法では、袋の中に重曹を入れそこへニオイのついた本を一緒に入れて数日おくというやり方もあります。
消臭剤を使用する方法では、スプレー式の液体タイプは使えないので置くタイプで中身がゼリー状のものを用意します。それをニオイのついた本の近くに設置する方法、その消臭剤と本をビニールの中に入れて密閉する方法があります。
カビ
用意するもの : 無水エタノール、布やメラミンスポンジ
ますはカビの付着した本の湿気をとばすために、天日干しなどでじっくり乾燥させましょう。無水エタノールはアルコールの一種ですが非常に濃度が高くほとんど水を含まないため、お風呂場などのカビを分解させるほどの強い洗浄力をもちながらあっというまに蒸発するという特性をもっています。そのため水が苦手な電化製品の掃除などに向いています。
本も同様に水が大敵ですが、すぐに蒸発してしまう無水エタノールなら本を濡らすことなく発生したカビを分解してくれます。無水エタノールを布やメラミンスポンジに含ませながら、カビ汚れを拭き取っていきましょう。インクの種類によっては変色などの可能性も考えられるため、目立たないところで試してから行ってください。
また作業する際にはマスクや手袋を着用し、換気の良い場所を選びましょう。
水濡れ
用意するもの : 扇風機、ドライヤー(冷風)、コピー用紙、ティッシュ、アイロン
重要な蔵書を扱う国立国会図書館で行っている方法として有名です。濡れたページにコピー用紙やティッシュを挟み、扇風機で風を当て軽く乾かします。完全に乾ききる前に重しを乗せることでよれたページをまっすぐにするというやり方です。
これはページが濡れいていることが前提となるため、水濡れ状態が完全に乾いてパリパリとしたページになっているときにはいちど湿らせてから行うといいかもしれません。また布製品に主に使用するアイロンを使う方法もあります。こちらはアイロンの温度を「低」、ドライの状態にし、水分を十分にとったページにアイロンを当てていくものです。小さな本などではやりにくい場合もあり。やけどの危険もあるため十分注意してください。
本をクリーニングするメリット
本をクリーニングすると、本が長持ちします。きれいな状態の本であれば、いざ手放すというときに古本屋などで高く買い取ってもらうことができるようになります。古本屋での主な査定には、本の状態というものが必ず関係してきます。
同じ古本を買い取るなら、状態がいい本に高値を付けるのは当然のことです。手間をかけたり、大切に保管した本は買い取る側にも目に見えてわかるからです。
まとめ
本のクリーニングは自宅でできることがわかりました。特別な道具や洗剤などは必要なく、身の回りにあるものでクリーニングが可能です。本はとてもデリケートなものなので、日頃のお手入れや保管方法でキレイな状態で長持ちさせることができます。
本を手放すときに古本屋に売る際にも高価買取が期待できます。もし汚れてしまった本などがあれば、早い段階でクリーニングをためしてみてはどうでしょうか。